パッケージ:オレたちの“珍”騒動
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かの有名な阿部定事件を筆頭に、チ〇コを切り取った(切り取られた)事件はいくつも語り継がれている。大島渚は同事件を『愛のコリーダ』として映画化しているし、映画『ガープの世界』ではガープの妻が自家用車の車内で浮気相手にフェラチオしているところに車が突っ込んで、浮気相手がチ〇コを失ってしまう。なんとも嫌な後味だが、同じくらいの分量で滑稽さも感じてしまうエピソードだ。
いずれにせよチ〇コを失うというのは非常に深刻な事態でありながら、どことなくバカっぽい。そして本作『パッケージ:オレたちの“珍”騒動』は、最初から最後まで「チ〇コを失うか否か」の瀬戸際で奮闘するヤングたちのノンストップアドベンチャーなのである。
主人公は、未成年だけど酒をたんまり買い込んでキャンプに繰り出した5人のティーンエイジャー。ところが仲間の中でもとびきりお調子者のジェレミーが、バタフライナイフを振り回しているうちに、なんと自分のチ〇コを切断してしまった! ジェレミーはヘリコプターで搬送され、残された仲間たちは切り落とされたチ〇コをジェレミーのいる緊急病院に届けようと森からの脱出を図る。ところが行く先々で難関が待ち構え、次々とチ〇コに災いが降りかかる! 果たしてタイムリミットの12時間より前にチ〇コを届けることができるのか??
勢い任せでストーリーを説明すると、だいたいこういうことになる。観てもらえれば、ほぼ正確だとわかってもらえるはずだ。輸送中のチ〇コが毒蛇に噛まれてしまうくだりなど、よくもまあこんなことを思いついたものだと呆れつつも喝采してしまうのだが、素晴らしいのは、ネタの強烈さではなく、ネタによってその場に流れる微妙な空気をちゃんと笑いにしていること。常にそこにあれど普段はあまり目にすることのないチ〇コを、手を変え品を変えて笑いのフルコースとして提供する。くだらなければくだらないほど、製作陣のチャレンジの果敢さに感心してしまうのだ。
とチ〇コのことばかり書いてしまったが、ちゃんと青春ラブコメとしても秀逸であることを書き添えなくてはなるまい。『E.T.』よろしく満月をバックにチ〇コが空を横切るバカ映像ばかりの映画ではないのだ。本作には、ドイツから一時帰省中のショーンと、ほのかに想いを寄せ合っているジェレミーの双子の妹ベッキー、そして期せずして元カノのサラと一緒にキャンプすることになってしまったドニーという、カップル未満のティーンエイジャーが2組登場する。彼らの不器用な恋の行方も、バカげた“珍”騒動の合間を縫ってちゃんと甘酸っぱく描いているのである。フルスイングのクダラなさと、思春期のもどかしさを両立させた傑作に『スーパーバッド/童貞ウォーズ』という先達があるが、本作は基本クダラな寄りだけど、それでいてハートも感じさせてくれる、つまりは正統派の青春映画なんである。
※Netflixオリジナル
『パッケージ:オレたちの“珍”騒動』
独占配信中
【予告編】
【視聴リンク】
https://www.netflix.com/title/80175147
内容・あらすじ
父親の仕事でドイツに引っ越したティーンエイジャーのショーンは、夏休みの帰省で地元に帰ってきて、幼なじみの親友ジェフリーとドニーとキャンプに行くことに。さらにジェフリーの双子の妹ベッキーとその親友のサラが加わる。ショーンは長らくベッキーに惹かれており、ドニーは元カノであるサラへの想いが断ち切れない。複雑な恋模様が波乱を呼ぶと思いきや、ジェフリーが自分のチ〇コを切り取ってしまったことから、ひと夏のキャンプは救急病院にチ〇コを届ける決死のミッションへと変貌を遂げる。