Cobra Kai

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『ベスト・キッド』のカルト的人気を裏付けた、YouTubeのこけら落としドラマ 『Cobra Kai』

空手を通して成長する少年と師との絆を描いた『ベスト・キッド』は1984年に公開されヒット。その後、「2」「3」も製作された。 本ドラマは、登場人物が成長し大人になった「その後」が描かれている。

 2018.7.31

『ベスト・キッド』を真に愛しているのは、日本人だと思いこんでいた。
が、本国、いや、もしかしたら世界で愛され続けていたことが、ここに証明されたのだ。

 

 

Youtubeが有料サービス「YouTube Red」をスタート。その目玉的作品として放ったのが、『ベスト・キッド』の続編となる『Cobra Kai』だ。
配信されるやいなや、視聴者数はグイグイ上がり、エピソード1は24時間以内に500万人が観たという。
さらに、8日後にはシーズン2の製作が決定したという快挙。
ネット配信系は、「いかにも続きます」という終わり方であっても、アクセスされなければ次作の製作は決まらない。そんななか、8日での決定は異例と言える。

 

『ベスト・キッド』といえば、40代から50代の世代には周知のヒット作。
『ロッキー』の少年版として1984年に公開され、見事大当たり。
前年に公開された『アウトサイダー』で人気を集めた、トム・クルーズ、C・トーマス・ハウエル、マット・ディロンらは「ブラッドパック(小僧っ子集団)」と呼ばれ注目されたが、そのなかに『ベスト・キッド』の主演に抜擢されたラルフ・マッチオも名を連ねていた。

 

いじめられっ子ダニエルが、日系アメリカ人のミヤギを空手の師と仰ぎ成長していくストーリー。
ミヤギから伝授される、車の掃除や塀のペンキ塗りを通して「いつの間にか身についている」空手の特訓は、今でもよくネタにされる。
「ワックスオン、ワックスオフ」
「アップ、ダウン、アップ、ダウン」。
さらに、必殺技となる「クレインキック(鶴の蹴り)」は、実によく真似したものだ。

 

あぁ、説明と回顧が長くなった。
冒頭に戻ると、この作品に愛着を持ち続けているのは日本人だと思っていた。
劇中の軸となる空手、ノリユキ・パット・モリタが演じたミヤギのキャラクター、随所にちりばめられたジャパニーズ・カルチャー。
それがだ、それがである!
500万人ビュー!である。
その事実だけで、感涙したのは私だけではないはずだ。

 

続編となるドラマの主人公は、成人したダニエル…ではなく、かつて「コブラ会」に所属していたジョニー。
「コブラ会」とは、「ノー・マーシィ!!(情け無用)」を合言葉に勝つことだけを目的にした空手集団で、ダニエルがクレインキックですでに成敗している。
「なんだ、主役はダニエルじゃないのか…」と落胆することなかれ。
本作には、オリジナル『ベスト・キッド』のスピリッツがふんだんに盛り込まれているのだ。
かつてダニエルがミヤギと築いた師弟関係が、今回はジョニーと今を生きる高校生の間で構築されていく。さらに、そこには「過去のコブラ会」のイメージが付きまとい、ドラマを盛り上げていく。

 

オリジナル『ベスト・キッド』でのシーンも巧みに組み込まれ、単なる回顧に終わらせていない脚本が見事。
オリジナルのキャラクターを丁寧に成長させ、齟齬のない演出が往年のファンを唸らせる。
「いじめられっ子だけど」どこかお調子者だったダニエルは、大人になってもそのままだし、「いじめられっ子なのに」やけに女の子の扱いがうまいところも、美人な奥さんと結婚している設定に引き継がれている。
単に「なぞらせる」のではなく、きちんと「生きていた続き」が描かれているのだ。

 

 

私が『ベスト・キッド』を愛するさらなる理由「青春恋愛映画としても傑作」だから、にも触れておきたい。
弱虫の成長譚だけだったら、私もこれほど熱狂しなかったろう。
バック転のできる女優エリザベス・シュー演じるアリと、ダニエルとの間で繰り広げられるティーンネイジャーらしいラブシーンが、私のなかの「高校生活の風景」として刻印された(事実は否なり)。
その要素は本ドラマにおいて、ダニエルの娘にしっかりと託されている。

 

さらに! 製作サイドの愛と熱意も半端なく、再生のスライドバーにカーソルを重ねるとクレインキックのシルエットが現れたりする茶目っ気あふれるギミックも凝っていて、私のような年季の入ったファンを狂喜乱舞させる。

 

現在、2話までは無料視聴可能で、3話以降は1話300円で観ることができる。
シーズン1のラストには、「あの男」が登場し…。
あぁ、シーズン2が待ちきれない!!!!

※youtubeにて独占配信中

【予告編】

 
【シーズン2特報】

 
【視聴リンク】
https://youtu.be/_rB36UGoP4Y
※日本語字幕あり(字幕表示をオンにして「設定」から日本語字幕を選択)

作品データ

製作年:2018年

製作国:アメリカ

原題:Cobra Kai

監督:ハーウィッツ&シュロスバーグ

脚本:ハーウィッツ&シュロスバーグ

出演:ラルフ・マッチオ、ウィリアム・ザブカ、ショロ・マリデュエナ、タナー・ブキャナンほか